この記事の要点
- 上尾市DX促進補助金を活用し、クラウド勤怠管理システム(ジョブカン)とiPadの顔認証打刻を導入しました。
- 勤怠データと給与ソフトの自動連携により、毎月3〜5時間の集計工数を削減しました。
- 労働時間をリアルタイムで把握できる体制が整い、36協定遵守など労務コンプライアンスが強化されました。
このたび、上尾市・上尾商工会議所 連携事業「上尾中小企業サポートセンター」が発行した相談事例集(令和7年度版)に、当社ITコーディネータ・塩原健仁が支援した事例が掲載されました。
支援企業
株式会社大成プレス工業所様(埼玉県上尾市中新井)
昭和34年創業。自動車部品を中心とした板金プレス加工・溶接・組立の一貫メーカーで、昭和62年に上尾市へ移転されました。ISO9001を取得し品質管理体制を強化。「人を変え、現場を変え、顧客からの信頼を高める」をモットーに事業を展開されています。
抱えていらっしゃった課題
出退勤の管理はタイムカード、給与計算は手計算で対応されており、残業の多い月は集計作業に大きな手間がかかっていました。
- 勤怠情報と給与ソフトが連携しておらず、二重入力と計算ミスのリスクがあった
- 残業時間の把握が不十分で、36協定遵守に向けたリスク管理ができていなかった
- 紙の給与明細による事務負担が続いていた
支援内容と成果
顔認証打刻で勤怠データの信頼性を向上
クラウド勤怠システム「ジョブカン」とiPadの顔認証打刻を組み合わせて導入し、なりすましや打刻漏れを防止。出退勤データの正確性が大きく向上しました。
集計工数を毎月3〜5時間削減
勤怠データと給与計算ソフトの自動連携により、手作業での集計・入力が不要になりました。
ペーパーレス化と労務コンプライアンスの強化
給与明細の電子化で事務負担が軽減。あわせてリアルタイムで労働時間を把握できる体制が整い、36協定遵守に向けた管理が可能になりました。
自社主導での導入による定着
有償サポートを使わず、マニュアルと無料サポートを活用して自社主導で導入。ご担当者のシステム理解が深まり、自走できる運用の定着につながりました。
専門家としての助言のポイント
システム選定では、低コスト(月額750円/1人〜)で顔認証に対応するジョブカンをご提案しました。導入前には就業規則・給与規定との整合性を必ず確認していただくようお伝えしています。初期設定のミスは後工程で大きな修正工数になるため、ベンダーのレクチャーサポートを活用した正確な初期設計が重要です。
顔認証打刻は有効な一方で、停電やネットワーク障害時の代替打刻手段をあらかじめ定め、BCP(事業継続計画)の観点から補完策を整備しておくよう助言しました。また各種手当(残業・深夜・皆勤・通勤等)や社会保険料率が正しく反映されているか、連携開始直後は検証期間を設けてダブルチェックを行うことをおすすめしています。
給与明細の電子化については、紙の明細を希望される従業員の方への配慮として並行運用期間を設け、段階的に移行していただきました。導入後はアラート機能を活用し、36協定違反や有休取得率の不足を早期に把握する運用としています。単なる効率化ツールではなく「労務コンプライアンスを守る仕組み」として社内に定着させることが重要です。あわせて、補助金で初期費用を賄えても月額利用料は継続して発生するため、ランニングコストを事業計画に織り込むことをご提案しました。
よくあるご質問
タイムカードからクラウド勤怠へ移行する際、最初に確認すべきことは何ですか。
就業規則・給与規定との整合性です。所定労働時間、休憩、割増賃金の計算ルール、各種手当の扱いをシステム設定に正しく反映させることが最優先で、ここを誤ると後の修正工数が大きくなります。
顔認証打刻は停電やネット障害のときどうなりますか。
打刻できなくなる可能性があるため、代替手段(管理者による手入力、モバイル打刻など)をあらかじめルール化しておく必要があります。BCPの一部として整備しておくことをおすすめしています。
補助金で導入した場合、費用は初期費用だけ考えればよいですか。
クラウドサービスは月額利用料が継続して発生します。補助対象は主に導入時の費用となるため、ランニングコストを事業計画に織り込んだうえで検討してください。
ご相談について
当社では、上尾商工会議所「上尾中小企業サポートセンター」の専門家(ITコーディネータ)として、勤怠・労務・会計まわりの業務効率化を支援しています。初回相談は無料です。
▶ 掲載元:上尾中小企業サポートセンター(上尾商工会議所)
▶ 掲載資料:令和7年度 サポートセンター事例集(PDF)